多くの企業ではMicrosoft Dynamics 365のような新しいERPシステムを導入しても、業務の効率化に改善の余地があると感じています。Dynamics 365は複数の部門のデータを統合する一方で、データ入力などの作業負担が増加し、従業員の負担が増えている可能性があります。本ブログ記事では、RPA(Robotic Process Automation) がどのようにこれらの課題を解決し、業務効率を劇的に改善する方法をご紹介します。
RPA (Robotic Process Automation)とは?
RPA (Robotic Process Automation)とは、人間の行動を模倣し、ルールに基づいて反復作業を自動化するソフトウェア技術です。RPAはデータ入力、請求書処理、レポート作成などの手間のかかる作業を、迅速に行ってくれるデジタル・アシスタントです。RPAを導入することで、手作業をできる限り削減し、重要な分析、迅速な意思決定、創造的作業など、より企業にとって価値の高い活動や作業に時間を使うことができます。あらゆる業界業種の企業における効率性、正確性の向上、コスト削減へと繋がります。
AIとRPA: 違いを理解する
人工知能(AI)とRPA (Robotic Process Automation)は、どちらも日々の作業を自動化するものですが、両者には明確な特徴と適用領域があります。
RPAは、あらかじめ決められたルールや意思決定構造に従うように設計されているため、機械学習や人工知能を必要としていません。AIとRPAの主な違いとしては、AIがインテリジェンスを必要とする認知タスクに重点を置いているのに対し、RPAは定型的な手作業の自動化に重点を置いている点にあります。
主な違いは以下の通りです:
使用目的 :
- AI:人間の知能と認知能力を模倣することを目的とし、機械が学習、適応、知的決定を行うことを可能にする
- RPA: 人間の行動を模倣したソフトウェア・ロボットにより、ルールに基づいた反復作業を自動化することに主眼を置く
特徴 :
- AI:意思決定、問題解決、パターン認識など、複雑で構造化されていないタスクを処理できる
- RPA: ルールや手順が明確で、事前に定義されている構造化されたタスクのみを処理できる
学習方法:
- AI:機械学習アルゴリズムやデータ分析を通じて継続的に学習・改善できる
- RPA: 事前にプログラムされたルールに依存し、自ら学習・適応することができない
使用例 :
- AI:顔認識、チャットボット、パーソナライズされたレコメンデーション、不正検知や医療診断など
- RPA: データ入力、請求書処理、注文処理、顧客対応、レポート作成など
AIとRPAの連携
AIとRPAは一見違うもののように思えますが、両者を連携させることでより生産的な自動化システムを可能にします。AIはデータを分析し、RPAプロセスに必要なデータ分析とその構築環境を提供します。RPAでその作業を自動化することで人はよりクリエイティブな領域に人的リソースを割り当てることができます。
AIとRPA の比較表
機能 | AI | RPA |
---|---|---|
使用目的 | 人間の作業を再現 | 反復作業の自動化 |
機能 | 複雑で非構造的なタスク | 定義された構造化されたタスク |
学習 | 継続的学習 | 事前プログラム |
使用例 | 顔認識やチャットボット | データ入力や請求書処理 |
関係 | 補完的 |
RPAとDynamics 365の連携でワークフローを自動化
RPAとDynamics 365を組み合わせることで、ビジネスの可能性が大きく広がります。データ入力、請求書処理、レポート作成などの面倒な反復作業を可能な限り排除し、貴重な人的リソースを戦略的意思決定、カスタマーサービス、製品開発などの、より高度で生産性の高い活動に割り当てるけることができます。この洗練され組み合わせによって以下のようなメリットをもたらされます。
- 効率性の向上:RPAは業務を正確かつ迅速に自動化し、作業及び処理処理処理時間を大幅に短縮することでワークフローの迅速化をはかります。これにより、受注処理の時間短縮、顧客対応の効率化、全体的な業務効率の大幅な向上が期待できます。
- データ精度の向上: RPAは、手入力によるヒューマンエラーのリスクを排除し、Dynamics 365データの正確性を確保します。これにより、意思決定の際に、その根拠となるデータの信頼性の担保やレポーティングの改善、財務データと不整合を防ぎます。
- コスト削減:日常の定型業務を自動化することで、手作業が不要となり、大幅なコスト削減につながります。これにより、企業のさらなる成長と競合への優位性などを確保することも可能です。
- 従業員満足度の向上: 従業員は時間を要する手作業から解放され、より創造的で充実した仕事に集中できるようになり、仕事への満足度や定着率が向上します。
- 拡張性の向上: ビジネスの成長に伴い、RPAは進化するニーズに合わせて柔軟に拡張できます。これにより、人員を追加することなく作業量の増加に対応でき、変動の激しい市場でも企業の競争力と適応性を維持できます。
データ入力以外のメリット:
RPAは、データ入力以外にも以下のような様々な作業を自動化することできます:
- レポートの作成 :Dynamics 365から直接データを抽出し、Excelレポートが作成されることで、自動的にチームへの情報共有を行います。
- クロスアプリケーションワークフロー: 複数のアプリケーションにまたがるワークフローを自動化し、プロセスの効率化とデータの一貫性を向上させます。
導入事例:某飲料メーカーがデータ入力を自動化し、すぐにコストを1万ドル削減した
この事例では、某飲料メーカーがRPAを利用しこの事例では、て日々の注文入力プロセスを自動化した方法を紹介します。これまでは、従業員が顧客のExcelシートからMicrosoft Dynamics にデータを手入力しており、この作業に毎日2時間を費やしていました。しかしRPAロボットを導入することで、同社は以下のことを改善しました:
- データ入力の自動化: ロボットが指定したフォルダから注文書を取り出し、データを読み取る必要なフォーマットに変換してDynamics に入力
- 効率性の向上: ロボットがデータ入力を行うことで、人間が行っていた入力作業の数分の一の時間で入力が完了し、1日あたり2時間の作業時間を削減
- 精度の向上: RPAにより人的ミスがなくなり、データ入力の精度が飛躍的に向上
- コスト削減: 効率性の向上と人的コストの削減により、年間1万ドル以上のコストを削減
- 人的リソースの削減: 従業員は、販売分析やプロモーション企画など、よりクリエイティブな仕事に専念

まとめ: この飲料メーカーの場合、RPAロボットがDynamics ERPにログインをして販売モジュールを起動し、Excelファイルから顧客コード、品番コード、数量、出荷先をシステムに自動入力します。そのため1時間あたり平均1,000件の注文を処理しています(今後注文が増えた場合に人を増やさずにそれ以上の件数の処理が可能)システムの導入によって、従業員は手入力作業から解放され、より戦略的な仕事に集中できるようになりました。またエラーリスクを減少させることでデータの正確性も確実に向上しました。
RPAの具体的な作業内容
- 各顧客の注文書(Excel)を指定フォルダから取得
- Excelデータを読み込み、必要な項目(顧客コード、品番コード、数量、出荷先等)をコピーし、受注インポート用の標準テンプレート(CSV)に変換
- インポートテンプレート(CSV)から必要な情報をコピーし、Dynamics ERPを起動
- Dynamics ERPにログイン
- 販売管理モジュールを選択
- 受注入力画面でコピーした情報を指定のフィールドに入力
- すべての受注データが入力されるまで繰り返す
- 作業終了後、担当者に完了通知メールを送信
もっと読む:Nifast – Case Study – Calsoft Systems | ERP, Network, IT Services
RPAの将来性
近年RPAは急速にERPでの業務を最適化するツールへと進化しています。複雑なビジネス・プロセスの自動化には綿密な計画が必要ですが、定型業務を自動化し、人的リソースをより複雑な定型業務を自動化し、人的リソースをより複雑なより複雑な業務に貢献させることで、今後さらにRPAが果たす役割は大きくなると予想されています。
自動化のその先に
先進的なRPAツールは、人工知能(AI)や機械学習(ML)機能と統合され、意思決定の処理、複数のアプリケーションにまたがるワークフローのオーケストレーション、さらには非構造化データの処理が可能になってきています。これは、財務照合、顧客導入、サプライチェーン管理などの複雑なタスクを含む、バックオフィス業務全体の自動化も含みます。
人間とロボットの共存
ロボットは人間に取って代わるものではありません。しかし、RPAによって従業員の単純作業は減少し、より人間らしいと言える高度な思考や創造性、コラボレーションワークに集中できるようになります。財務チームがRPAと連携してトレンドや財務リスクを予測したり、営業チームが顧客とのやり取りをパーソナライズし、より迅速に取引を成立させたりすることを想像してみてください。このように人間とロボットの相乗効果が、企業にとってより将来性のあるビジネスモデルの構築へとつながるのではないでしょうか。
カルソフトについて
カルソフトシステムズは、Microsoft Dynamics 365(Business Central、Finance/Operation)をはじめとするERP製品と、UiPathをはじめとする最先端のRPA技術をシームレスに統合した革新的なソリューション提供を通じて、ビジネスの効率化をサポートしています。
最近ERPシステムを導入したが、非効率な業務が未だなお続いている、手作業が多く残っているなどのお悩みをお持ちの方は、ぜひ弊社にご相談ください。弊社のチームは、貴社のビジネス・プロセスを強化するためにその企業に合ったオーダーメイドのソリューションをご提案可能です。
業務効率を改善し、Dynamics 365の可能性を最大限に活用しましょう。お気軽にカルソフトシステムズにご相談ください。